腸内環境から健康維持の鍵を握る「短鎖脂肪酸」の認知と理解を広げるため、2024年8月20日に設立された一般社団法人 短鎖脂肪酸普及協会。短鎖脂肪酸の持つ可能性や今後の腸を起点としたヘルスケアについて、代表理事の福田真嗣さんにお話を伺いました。
近年、「腸活」や「腸内フローラ」という言葉とともに腸内環境への関心が高まっています。その中で、人々の健康に深く関わる「短鎖脂肪酸」という成分が注目を集めています。短鎖脂肪酸とは、私たちの腸内にすむ腸内細菌が食物繊維やオリゴ糖をエサとして分解した結果産生される短い脂肪酸の総称で、おもに酢酸、プロピオン酸、酪酸があります。実は研究者の間では20年以上も前からその有用性が知られていた短鎖脂肪酸ですが、近年、人の健康のみならず機能拡張にまで影響をもたらす可能性が続々と研究で判明し、私たちの実生活の中で意識すべき一つの指標になってきています。 腸内細菌によってつくられた短鎖脂肪酸などの化合物は、腸管から吸収されて血流にのって全身を巡り、多角的に健康に貢献することが近年の研究で明らかになってきました。
短鎖脂肪酸とはどういうものなのか?最新の研究で、主に以下の健康メリットに繋がる可能性が報告されています。
・便通改善:短鎖脂肪酸は大腸のぜん動運動と呼ばれる便を押し出す腸の動きを促し、便通改善に寄与します。
・腸のバリア機能:腸を健康に保ち、有害物質の侵入を防ぐバリア機能の強化にも貢献すると言われています。
・免疫機能のサポート: 免疫細胞の半分以上が腸に集中しており、短鎖脂肪酸は免疫細胞の活性化や免疫バランスの調整をサポートすることで、アレルギーや感染症のリスク低減に寄与することが示唆されています。
・生活習慣病の予防: 血糖値上昇の抑制やコレステロール値の改善作用が報告されており、肥満、糖尿病、高血圧などの生活習慣病予防への貢献が期待されています。
・精神面への影響: 腸と脳の密接な連携を示す「脳腸相関」の研究が進む中で、短鎖脂肪酸も精神面に影響する可能性が報告されています。
糖尿病や動脈硬化、花粉症を含むアレルギーなど様々な疾患や健康課題に直面する現代において、短鎖脂肪酸は健康維持の重要な要素の一つとしてその価値が認識されています。
では、効率的に短鎖脂肪酸を増やすためには? その原料となる「食物繊維やオリゴ糖」の積極的な摂取が不可欠です。食物繊維の中でも発酵性食物繊維と呼ばれる類の食物繊維は直接的に腸内細菌の栄養源となり、短鎖脂肪酸の産生を促進します。 食物繊維やオリゴ糖が豊富な食材としては、大麦やオーツ麦、雑穀などの穀類、わかめや昆布などの海藻類、ごぼうやオクラなどの野菜、きのこ類、大豆などの豆類、バナナやリンゴなどの果物があります。他にもヨーグルトや納豆、味噌、漬物などの発酵食品は、腸内で有用な菌を増やしたり、短鎖脂肪酸の産生を助ける働きが期待できます。
一人あたりおよそ1000種類、約40兆個の腸内細菌がおなかの中で共生しているため、多様な食材をバランス良く摂取することが、多様な腸内細菌を育み、結果的に短鎖脂肪酸の産生を促進します。 当協会では、短鎖脂肪酸の有用性を知っていただき、生活の中で意識したい!と思って下さった生活者の皆さんをサポートする目的で、2025年3月に「短鎖脂肪酸普及協会認定マーク(短鎖マーク)」を協会活動の一貫として策定しました。当協会が定める基準のもと、短鎖脂肪酸の産生が示唆されたエビデンスを持つ商品群に付与するものです。このマークがついた商品やサービスを目印に、これまでの腸活から「短鎖脂肪酸を意識した腸活」にアップデートしていただけたらと考えています。
短鎖脂肪酸は、まだ一般消費者に広く認知されているとは言えない成分です。しかし、これまでの科学的根拠に基づく健康への寄与は計り知れません。当協会は、エビデンスに基づいて短鎖脂肪酸の重要性をわかりやすくお伝えすると同時に、普及活動を通じて“腸から新たな健康リテラシーを構築する”ことをミッションとしています。情報を発信して下さるメディアとの連携、協会認定マークを活用した生活者の商品選択サポート、流通業界との連携などで多くの人々が短鎖脂肪酸を知り、理解し、実践できる環境をつくっていきたいと考えています。
一般社団法人 短鎖脂肪酸普及協会
https://scfa.or.jp/
関連記事はありません
媒体への共感と信頼をベースに、調査やプロモーションに積極的に参加し、時に情報発信者にもなるメンバーがそろい、
各種調査だけでなく、プロモーション活動全般の基盤となります
リビングくらしHOW研究所のマーケティングデータを
商品の開発やサービスの改善に生かしませんか?お気軽にご依頼・お問い合わせください