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くらしHOW研究所

スペシャルコンテンツ業界インタビュー

“ここに眠れるなら寂しくない”。 デザインも仕組みも、 女性がそう思えるお墓を目指しています

取材日:
株式会社アンカレッジ 代表取締役社長 伊藤 照男さん

散骨や納骨堂、樹木葬、宇宙葬(!)と、“死後の居場所”の選択肢が増えている。
くらしHOW研が全国の女性に聞いた「お墓に関するアンケート」では、「自分が入りたいお墓」のスタイルは、1位が合祀墓・合同墓などの「永代供養墓」、2位が「樹木葬」だった。
女性たちは、なぜこういったお墓を求めるのか? 港区や大田区など都市部の寺院墓地で、コンパクトな樹木葬を企画・販売する(株)アンカレッジの伊藤照男社長に話を聞いた。

お墓の自由度は、年々高まっています。とくに、女性のお墓選びは先進的です!
私どもの樹木葬には、ご夫婦で入るタイプと、ひとりで入るタイプがありますが、女性の場合、結婚していて、ご主人がご存命でも「1人用」を選ぶことはよくあります。
でも、男性はほとんどありません。これまで1200件を手がけた中で、奥様がいて「1人用」を選んだ男性はひとりだけでした。


“先祖代々の墓”は今後きわめてレアなものになっていくでしょう。

「妻が婚家の墓に入る」ことは50年前には当たり前でした。20年ぐらい前にようやく他の選択肢が出てきたのですが、今では「夫の実家の墓」に入ることを希望する女性は少数派。変化は際立っています。

“家は長男が継いで代々伝えるもの“という価値観もまた、この1.5世代ぐらいで大きく変わりました。
少子化が進み、子どもひとりの家庭が主流になった今、男の子しか家を継げないルールでは、半分の世帯が家を継げません。
娘しかいないので、家の名を守るために婿を取る、なんていう話は、昔は普通だったようですが、今はめったに聞きません。“家を継ぐ”という考え方自体が薄れてきているんです。

お墓の承継も同様です。

樹木葬を含めた永代供養墓を希望する方の多くが、その理由として「子どもに墓守をさせたくない」「子どもの世代に迷惑をかけたくない」といいます。
少子化の時代に親を見送った世代は、お墓の承継で相当苦労しています。だから彼らは、子どもたちには、将来にわたって続くお墓の苦労をさせたくない。
それが、子どもに負担の少ない「永代供養墓」の人気につながっていると思います。

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遠くてお参りに行けない、継ぐ人がいないといった理由で、先祖から続いたお墓を片付けて敷地を返す、“墓じまい”や“改葬”も、とても増えています。石材店によっては、建てるお墓よりも、片づけるお墓の方が多いほどです。

元々の墓地を持つお寺さんはいやがることもあるようですが、“墓じまい”をしようとする人は、「家のお墓」を放っておけない人、むしろ先祖の供養をきちんと考えている人といえます。お参りに行く人もなく、放ってしまえば、無縁墓になってしまうのですから。

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アンカレッジの樹木葬は、6年前に港区高輪の道住寺の建て替えの際に、新しいお墓のかたちを検討したことから始まりました。

都市部の小規模寺院は、新しい墓地も売れにくく、駐車場経営などで生計を立てているところが多いのですが、なんとか本業の宗教事業で収益を出すことはできないか、と考えて。

お墓をめぐるいろいろな動きを検討する中で決めたのは、ターゲットを女性に絞ることでした。

アンカレッジ ホームページから

アンカレッジ 高輪庭苑のホームページから

女性は男性よりも7~8歳長く生きますし、夫婦では妻より夫の方が2歳程度年上のケースが多い。つまり夫や自身のお墓を新しく選ぶのは、多くの場合、女性ということになります。
また冒頭で述べたように、夫の家の墓に入りたくないという意向が強い女性の多くは、従来とは異なるスタイルのお墓に抵抗がなく、先進的です。

そこで、デザインも仕組みも、“ここに眠れるなら寂しくない”と女性が感じる、新しいお墓を目指しました。
・従来の樹木葬のお墓は、郊外や山を切り拓いた大規模な土地にシンボルツリーがあって、というものが多いのですが、ここでは、たくさんのお花が咲く中で眠れるデザインに
・お骨は一定の年数を経たのち、骨壺から取り出して土に還しますが、住職の供養はずっと続きます
・小規模ですが、お寺の境内にあるので、細かく目が行き届くことはむしろ安心感につながります
・ペットと一緒にはいることもできます
などなど。

道住寺高輪庭苑を立ち上げてから、5年半。現在は11カ所で樹木葬の墓地などを展開し、好評をいただいています。
今後も、時代に合った、女性に喜ばれるお墓を提案していきたいですね。

【公式】アンカレッジの樹木葬

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