くらしHOW藤田景子です。
前回は、ル・クルーゼの鍋の日本における販売は、不況の影響をほぼ感じない、と聞いた。それでは、基本的には同じ商品を、世界20カ国以上で売る中で感じる、日本人消費者の特徴とは何だろう。引き続き、日本法人「ル・クルーゼ ジャポン」の広報マネージャーの櫻井さんより、お話をうかがった。
「日本人は、モノに対してのこだわり、関心が高いですね。最初、鋳物部分にサビ止め加工をしていない部分があったのですが、日本からの要望で日本向け商品はサビ止めをするようになり、今では全世界の標準になりました。また、フランス本国との比較で考えると、フランス人にとってのル・クルーゼは“道具”ですが、日本人にとっては“ブランド”という意味も強いかもしれません」。
確かに、同じような機能の鍋が、ひとまわり安い値段であったとしても「どうせ買うならル・クルーゼ」と感じるのは、そのブランド性ゆえ。櫻井さん自身も、プライベートでたくさんのル・クルーゼ製品を持っているそうだが、「あの、買うときのワクワク感や、届いたときのうれしさなどは、ブランドのバッグにも似ていると思います」。
ル・クルーゼが、ブランドバッグに似ていることが、主婦のコメントなどからも読み取れる。下記のコメントなど、主語が「◎△×のバッグは」となっても、まったくおかしくない。
★雑誌とかに載っていて、色もきれいだし使い勝手もよさそう!
★お店などで見てとても可愛いし、うちにあるといいなと思うが、値段が高い為なかなか購入できずにいる。
★芸術品のような美しさがあるのでほしい。でも汚したくないので使いたくはない。
★見た目にもおしゃれで長い間人気のあるので、そのうち欲しいとずっとあこがれています。
★話題の品だし、なんといってもおしゃれ。持っているだけで(使わなくても)モチベーションが上がるから。
品質が高く、有名人にも愛用者が多く、雑誌でも頻繁に紹介されている。手に入れたら、いつもの自分をちょっと上に押し上げてくれる気がする。これで、何かが変わる気がする。ただし値段は安くない。でも、安くないからこそ信頼や、買ったときのトキメキもある。買う前の「迷い」も楽しみたいし、買ったら人に語りたい。買ったら大事に使いたい。友達だって、けっこう買っているし…。
もしル・クルーゼの鍋が3000円だったら…もっと気軽に多くの人が買うかもしれないが、こんなに「聞きたい・語りたい」とは、ならないだろう。クココミする前に、買ってしまえばいいのだから。そして、その結果「思ったより重い。使いこなせない」と言われるかもしれない。
しかし、ブランドだから、「高い」のは当然。でも、それだけの価値があるかどうか聞きたい・語りたい。さらに、効果の裏返しとして「重い」のは事実だから、「重いだけのことがあるのか、知りたい」。と、すると…ル・クルーゼが「クチコミされる」ポイントは、プラス要素の裏返しとしての、マイナス要素があるからこそと思える。
モノを売る側としては、「悪いクチコミ」をされたくないのは当然のこと。しかしプラス要素と表裏一体のマイナス要素もあることが、「でもね…」という、プラスのクチコミを盛り上げる。マイナス要素を乗り越えて買ったから、より好きになり、ファンになる。ちょっと「ひっかかり」のある人ほど話題の人になりやすいという感じだろうか。
この心理プロセスを企業がコントロールするのは難しい。しかし、これらの微妙な心の動きこそが、女性の消費心理の一端として、興味深いところなのだ。
今回で一応一区切り…なので、全4回のエントリーについて簡単にまとめると…
①ル・クルーゼの鍋2万円以上の高額商品。しかし主婦の23.5%が持っていた。
②ル・クルーゼの鍋は、「オシャレ」「料理がおいしくできる」と評価されている。
しかし、「高い」「重い」などのマイナス要素もある。
そして、非常に「クチコミ」されているし、クチコミが購入意向を高めている。
③日本でブレークしたのは2004年以降。
海外では不況の影響を受けた国もあるが、日本では売れ続けている。
④日本の主婦がル・クルーゼの鍋を買うときの心理はブランドのバッグを買うときと似ている。
さらに、プラス要素と表裏一体のマイナス要素があることで、クチコミの必然性が生まれ、
マイナス要素を乗り越えて買うからこそ、ファンになる。
いかがでしょう?
実は私は「ル・クルーゼ、持っていない」主婦。しかし、このブログを書きながら、じわじわ欲しくなっているのだった…。この秋は、買っちゃおうかな。

