« ル・クルーゼの「重い・高い」を突破させる、クチコミの力 | メイン | 購入へのマイナス要素が、クチコミの必然性を生む »

2009年09月04日 カテゴリー : いまどき主婦に売れるもの~ル・クルーゼ編~

日本では、不況でも売れている

くらしHOW藤田景子です。

 2万円以上するのに根強い人気の鍋「ル・クルーゼ」。前回のエントリーで、「ル・クルーゼは主婦に語られて売れる鍋」だということを書いた。

 次に知りたくなるのは、「ル・クルーゼ」とは、日本の主婦にとって何なのか? そもそもフランス生まれの「ル・クルーゼ」が、どんな風に人気商品に育ったのか? 日本法人「ル・クルーゼ ジャポン」を訪ね、広報マネージャーの櫻井さんより、お話をうかがった。

 「ル・クルーゼ」の日本法人ができたのは1991年。偶然だろうがバブル崩壊のその年だ。そもそも「ル・クルーゼ」自体は、ベルギー国境に近いフランス北部の村に、1925年に創業された鋳物ホーローキッチンウエアの専門メーカーだ。本社は今でもそこにあり、村の人口約3000人のうち、500人がル・クルーゼ社で働いているという。

 もちろん1980年代以前も、欧米の食文化に詳しい料理のプロが海外で購入して、雑誌などで紹介するなどはあったが、どこにでもあるものではなかった。そして、日本法人ができてしばらくしても、それほど急に販売拡大した訳ではないという。

 櫻井さんによると、「こんなカラフルな鍋が、そんなに売れる訳ないでしょう、とデパートでもたくさんの棚は取れない。なので、アイテム数も増やせない」と、全体に消極的な流れになっていたようだ。しかし、そんな中でも「料理のプロ」の愛用者はジワジワと増えていた。それに伴って、雑誌や料理番組に露出されると、「あのオレンジ色の鍋はいいみたい」と、お料理好き一般女性に、「プロが愛用するおしゃれな鍋」というイメージが高まっていく。ここまではまさに「商品の力」だ。

■ブレークは2004年前後、日本らしい商品も提案

 2003年に、『「ル・クルーゼ」だから、おいしい料理」』(著・平野由希子)が、出版社の独自企画で出版。このころには、「憧れの鍋」としてのポジションは固まったようだ。そして2004年、それまでのアメリカ支社福社長が、日本支社長に就任する。

 「デパートの棚の数にとらわれず、もっと日本人にあったいろいろな提案をしていきましょう。ということで、例えば四季の感覚が敏感な日本なので、季節カラーの新製品を出したり、夏は鍋でなくグリルを出したり。ちょうどイケアやフランフランなど、新しいライフスタイル、インテリア感覚が注目される時期ということもあったと思うのですが、ここでブレークしたと思います。また、お客様カードやお電話などから、日本の食文化にあった鍋も開発しました。ココット・スキヤキ(2003年~2004年に販売)は、鍋料理に合った深さのもの。また、スチーマーセットは、ル・クルーゼで蒸し器を使いたい、という日本のお客様の声から開発されました」(櫻井さん)

■日本人の好みとニーズに答える「ハート型」

 ちなみに、販売個数ベースでいうと、「一番売れる商品」は鍋ではない。「ラムカン・ダムール」という、ハート型のふた付きストーンウエアで、オーブンやレンジもOK、食器のほか小物入れなどに使う人も多いという。小さいものだと2500円程度なので、ちょっとしたギフトにも人気のようだ。

 SN3I00260001.jpg

 これが「ラムカン・ダムール」 (「ル・クルーゼマガジンvol.4」表紙より)


 「ハート型のお鍋も、プレゼント用に人気です。もともとはイギリス支社の提案から生まれたのですが、日本人はハートのモチーフが好き。一方アメリカ人は星が好き、など特徴がありますね」

 ハート型…。かわいいことは確かだが、鍋や食器としては、いかがなものか…?

 「それがですね、形は突飛ですが、ハートって意外と使い勝手がいいんです。まず鍋は、ご飯を2~3号炊くなど、3人程度の少人数の家庭にちょうどいいサイズ。ラムカンも、例えばご飯などの“型”につかって、カレーを演出したり、4つ組み合わせるとクローバーの形になったりと、活用されているようです」。

 なるほど。こういうことは、確かに「語りたくなる」ネタである。

 「フランス本国でも、ル・クルーゼは結婚のお祝いでいただく鍋。でも、フランスでは親が子供に譲るケースも多く、急激に販売が増えたりはしないようです。一方でアメリカ人は、あまり迷ったりしない。お店に入って5分で数個のお鍋を買っていくイメージです。お店側も、“○個買うと1個が無料”といった売り方です。なので、好況時はたくさん売れても、不況になると売上が落ちる傾向はあるようですね。日本では不況の影響は、感じませんが」。

不況でも買う日本人、消費者としての特徴は、どんなところなのだろう?

(次回エントリーに続く)


当ブログ掲載の記事、写真、イラスト等の無断掲載を禁じます。
copyright©2007 Living Kurashi HOW Institute.All rights reserved.