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2009年09月03日 カテゴリー : いまどき主婦に売れるもの~ル・クルーゼ編~

ル・クルーゼの「重い・高い」を突破させる、クチコミの力

くらしHOW藤田景子です。

 前回から少々時間がたって恐縮だが、「不思議なほど売れる鍋」ル・クルーゼについて引き続き。今回は、主婦がル・クルーゼの何に魅力を感じ、購入までに至っているのか、ということについて書いてみたい。

 前回、主婦組織「リビング・パートナー」への調査で、ル・クルーゼ系の鍋を持っている人は23.5%。2万円台から、という高額品にもかかわらず、4~5人に1人が持っていることを報告した。その後、ル・クルーゼについてのネット座談会を実施したが、そのときの参加者リクルート時に集まった声を分類すると、ル・クルーゼの鍋の商品特徴は、下記に集約できるようだ。

【ル・クルーゼの鍋を購入したくなるプラス要素】

①デザインがおしゃれでカワイイ。色がキレイ
②煮込み料理など、料理がおいしくできる(できそう)

【ル・クルーゼの鍋の購入をためらわせるマイナス要素】

①値段が高い。かつ安くならない。
②重い。扱いが大変

つまり、主婦にとっては魅力も多いが、欠点のまったくない完璧な商品でもない、ということだ。

さて、応募時のコメントを読んでいて、発見したことは、「(…という評判を)聞いた」という言葉の多さだ。

【評判を“聞いて”欲しいと思っている人の声】

★使いやすく持ちの良い商品だと聞いています。ちょっと高いのでなかなか手が出ないのですが。
★料理家さんが必ずもっているお鍋なので。姉もル・クルーゼはいいと言っているので。
★最近、ハート型のかわいい形が出たり、とても使いやすいと使っている方に聞いたため、ぜひほしいとおもっている。
★煮込み料理をしたときに味が違うと聞いたから。
友人より使いやすさなど良さを聞き、ぜひ自分も使ってみたいと思いました。
★友人が使用していて、万能で調理も早いと聞いて、いつかは購入したいと考えていたが、金額が少し高いようなのでまだ買えずにいた。
使っている人に聞くと、保温性が良く使いやすいとのこと。ただ、金額が高くなかなか安くもならないので、手が届かないところです。
★友人からお料理が美味しく仕上がると聞いたから。
★料理がふんわりと出来上がると聞いたから。余熱で火が通るから、光熱費が少しだけ節約できると聞いたから。
★デザイン・色のバリエーションが豊富。商品としてもとても優れていると聞いています。耐久性もいいし、お料理も美味しく出来るらしいので。
★たかがお鍋…なんて言えないぐらいの美しさ、憧れます。保温性にも優れていると聞きましたので、エコ対策にもいいかも。機会があれば是非買いたいです。
★重そうだが、使いこなせるかなとおもいます。娘がとてもすすめるので、使ってみたいと思っています。
★色がとてもカラフルで重さはかなりあるけれど、煮物料理など味が染みてよいという評判も聞くし、インテリアにもなる。今回圧力なべかル・クルーゼを購入しようか迷っている。
★熱通りが良いと聞いたので
★煮込み料理がうまくできると聞いているので使ってみたいのですが、値段が高くて買えません…。
★好きなブロガーさんがル・クルーゼで作ったお料理をよく紹介しているので、是非試してみたい。
 
 上記の全部は「クチコミ」とは言い切れず、テレビなどでお料理研究家が言っているのを聞いた、というケースもあるだろう。しかし、この「実際に使った人から聞いた」ことが、「欲しい」という気持ちを構成する大きな要素なのは間違いない。さらには、このネット座談会への応募理由として「実際に使っている人の感想を聞きたい」という人も多かった。

【つまり…】

①ル・クルーゼの鍋は、主婦が欲しいと思う「商品魅力度」が高い。

②しかし一方で「高い」「重い」など、購入をためらわせる要素も強い。

③それを乗り越えても買うべきか、買う価値のある商品なのかを判断するために、
  実体験者の「クチコミ」が大きな判断要素になっている。


 このル・クルーゼという鍋、商品自体の価値やブランド力、雑誌やテレビなどマス情報の力もあるが、それにプラスして「経験者のクチコミ」が「購入への最後の一押し」になっているのは間違いない。
 2万円以上という高額商品だけに、「買おうか、やめようか」という迷いの時間が長いことは想像できる。そのような「迷い」を、購入の方向へグイッと押し出すのが、この「経験者のクチコミ」だろう。

 しかし、消費者・ユーザーは自主的自然発生的に「良いクチコミ」を広げている訳だが、そもそも、これだけの「クチコミ」が生れ、それが確実に販売促進につながる理由なり、傾向なりというものはあるのだろうか? 「ル・クルーゼ」の商品や販売促進から、女性のクチコミを生み出す「ポイント」が発見できるのではないか? ぜひとも、とお願いして「ル・クルーゼ ジャポン株式会社」にお話をうかがうことにした。

(次回は「ル・クルーゼ ジャポン株式会社」取材です)

2009年09月04日 カテゴリー : いまどき主婦に売れるもの~ル・クルーゼ編~

日本では、不況でも売れている

くらしHOW藤田景子です。

 2万円以上するのに根強い人気の鍋「ル・クルーゼ」。前回のエントリーで、「ル・クルーゼは主婦に語られて売れる鍋」だということを書いた。

 次に知りたくなるのは、「ル・クルーゼ」とは、日本の主婦にとって何なのか? そもそもフランス生まれの「ル・クルーゼ」が、どんな風に人気商品に育ったのか? 日本法人「ル・クルーゼ ジャポン」を訪ね、広報マネージャーの櫻井さんより、お話をうかがった。

 「ル・クルーゼ」の日本法人ができたのは1991年。偶然だろうがバブル崩壊のその年だ。そもそも「ル・クルーゼ」自体は、ベルギー国境に近いフランス北部の村に、1925年に創業された鋳物ホーローキッチンウエアの専門メーカーだ。本社は今でもそこにあり、村の人口約3000人のうち、500人がル・クルーゼ社で働いているという。

 もちろん1980年代以前も、欧米の食文化に詳しい料理のプロが海外で購入して、雑誌などで紹介するなどはあったが、どこにでもあるものではなかった。そして、日本法人ができてしばらくしても、それほど急に販売拡大した訳ではないという。

 櫻井さんによると、「こんなカラフルな鍋が、そんなに売れる訳ないでしょう、とデパートでもたくさんの棚は取れない。なので、アイテム数も増やせない」と、全体に消極的な流れになっていたようだ。しかし、そんな中でも「料理のプロ」の愛用者はジワジワと増えていた。それに伴って、雑誌や料理番組に露出されると、「あのオレンジ色の鍋はいいみたい」と、お料理好き一般女性に、「プロが愛用するおしゃれな鍋」というイメージが高まっていく。ここまではまさに「商品の力」だ。

■ブレークは2004年前後、日本らしい商品も提案

 2003年に、『「ル・クルーゼ」だから、おいしい料理」』(著・平野由希子)が、出版社の独自企画で出版。このころには、「憧れの鍋」としてのポジションは固まったようだ。そして2004年、それまでのアメリカ支社福社長が、日本支社長に就任する。

 「デパートの棚の数にとらわれず、もっと日本人にあったいろいろな提案をしていきましょう。ということで、例えば四季の感覚が敏感な日本なので、季節カラーの新製品を出したり、夏は鍋でなくグリルを出したり。ちょうどイケアやフランフランなど、新しいライフスタイル、インテリア感覚が注目される時期ということもあったと思うのですが、ここでブレークしたと思います。また、お客様カードやお電話などから、日本の食文化にあった鍋も開発しました。ココット・スキヤキ(2003年~2004年に販売)は、鍋料理に合った深さのもの。また、スチーマーセットは、ル・クルーゼで蒸し器を使いたい、という日本のお客様の声から開発されました」(櫻井さん)

■日本人の好みとニーズに答える「ハート型」

 ちなみに、販売個数ベースでいうと、「一番売れる商品」は鍋ではない。「ラムカン・ダムール」という、ハート型のふた付きストーンウエアで、オーブンやレンジもOK、食器のほか小物入れなどに使う人も多いという。小さいものだと2500円程度なので、ちょっとしたギフトにも人気のようだ。

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 これが「ラムカン・ダムール」 (「ル・クルーゼマガジンvol.4」表紙より)


 「ハート型のお鍋も、プレゼント用に人気です。もともとはイギリス支社の提案から生まれたのですが、日本人はハートのモチーフが好き。一方アメリカ人は星が好き、など特徴がありますね」

 ハート型…。かわいいことは確かだが、鍋や食器としては、いかがなものか…?

 「それがですね、形は突飛ですが、ハートって意外と使い勝手がいいんです。まず鍋は、ご飯を2~3号炊くなど、3人程度の少人数の家庭にちょうどいいサイズ。ラムカンも、例えばご飯などの“型”につかって、カレーを演出したり、4つ組み合わせるとクローバーの形になったりと、活用されているようです」。

 なるほど。こういうことは、確かに「語りたくなる」ネタである。

 「フランス本国でも、ル・クルーゼは結婚のお祝いでいただく鍋。でも、フランスでは親が子供に譲るケースも多く、急激に販売が増えたりはしないようです。一方でアメリカ人は、あまり迷ったりしない。お店に入って5分で数個のお鍋を買っていくイメージです。お店側も、“○個買うと1個が無料”といった売り方です。なので、好況時はたくさん売れても、不況になると売上が落ちる傾向はあるようですね。日本では不況の影響は、感じませんが」。

不況でも買う日本人、消費者としての特徴は、どんなところなのだろう?

(次回エントリーに続く)

2009年09月08日 カテゴリー : いまどき主婦に売れるもの~ル・クルーゼ編~

購入へのマイナス要素が、クチコミの必然性を生む

くらしHOW藤田景子です。

 前回は、ル・クルーゼの鍋の日本における販売は、不況の影響をほぼ感じない、と聞いた。それでは、基本的には同じ商品を、世界20カ国以上で売る中で感じる、日本人消費者の特徴とは何だろう。引き続き、日本法人「ル・クルーゼ ジャポン」の広報マネージャーの櫻井さんより、お話をうかがった。

 「日本人は、モノに対してのこだわり、関心が高いですね。最初、鋳物部分にサビ止め加工をしていない部分があったのですが、日本からの要望で日本向け商品はサビ止めをするようになり、今では全世界の標準になりました。また、フランス本国との比較で考えると、フランス人にとってのル・クルーゼは“道具”ですが、日本人にとっては“ブランド”という意味も強いかもしれません」。

 確かに、同じような機能の鍋が、ひとまわり安い値段であったとしても「どうせ買うならル・クルーゼ」と感じるのは、そのブランド性ゆえ。櫻井さん自身も、プライベートでたくさんのル・クルーゼ製品を持っているそうだが、「あの、買うときのワクワク感や、届いたときのうれしさなどは、ブランドのバッグにも似ていると思います」。

 ル・クルーゼが、ブランドバッグに似ていることが、主婦のコメントなどからも読み取れる。下記のコメントなど、主語が「◎△×のバッグは」となっても、まったくおかしくない。

雑誌とかに載っていて、色もきれいだし使い勝手もよさそう!

お店などで見てとても可愛いし、うちにあるといいなと思うが、値段が高い為なかなか購入できずにいる。

芸術品のような美しさがあるのでほしい。でも汚したくないので使いたくはない。

見た目にもおしゃれで長い間人気のあるので、そのうち欲しいとずっとあこがれています。

話題の品だし、なんといってもおしゃれ。持っているだけで(使わなくても)モチベーションが上がるから。

 品質が高く、有名人にも愛用者が多く、雑誌でも頻繁に紹介されている。手に入れたら、いつもの自分をちょっと上に押し上げてくれる気がする。これで、何かが変わる気がする。ただし値段は安くない。でも、安くないからこそ信頼や、買ったときのトキメキもある。買う前の「迷い」も楽しみたいし、買ったら人に語りたい。買ったら大事に使いたい。友達だって、けっこう買っているし…。

 もしル・クルーゼの鍋が3000円だったら…もっと気軽に多くの人が買うかもしれないが、こんなに「聞きたい・語りたい」とは、ならないだろう。クココミする前に、買ってしまえばいいのだから。そして、その結果「思ったより重い。使いこなせない」と言われるかもしれない。

 しかし、ブランドだから、「高い」のは当然。でも、それだけの価値があるかどうか聞きたい・語りたい。さらに、効果の裏返しとして「重い」のは事実だから、「重いだけのことがあるのか、知りたい」。と、すると…ル・クルーゼが「クチコミされる」ポイントは、プラス要素の裏返しとしての、マイナス要素があるからこそと思える。

 モノを売る側としては、「悪いクチコミ」をされたくないのは当然のこと。しかしプラス要素と表裏一体のマイナス要素もあることが、「でもね…」という、プラスのクチコミを盛り上げる。マイナス要素を乗り越えて買ったから、より好きになり、ファンになる。ちょっと「ひっかかり」のある人ほど話題の人になりやすいという感じだろうか。
 この心理プロセスを企業がコントロールするのは難しい。しかし、これらの微妙な心の動きこそが、女性の消費心理の一端として、興味深いところなのだ。


今回で一応一区切り…なので、全4回のエントリーについて簡単にまとめると…

ル・クルーゼの鍋2万円以上の高額商品。しかし主婦の23.5%が持っていた。

ル・クルーゼの鍋は、「オシャレ」「料理がおいしくできる」と評価されている。
  しかし、「高い」「重い」などのマイナス要素もある。
 そして、非常に「クチコミ」されているし、クチコミが購入意向を高めている。

日本でブレークしたのは2004年以降。
 海外では不況の影響を受けた国もあるが、日本では売れ続けている。

日本の主婦がル・クルーゼの鍋を買うときの心理はブランドのバッグを買うときと似ている。
 さらに、プラス要素と表裏一体のマイナス要素があることで、クチコミの必然性が生まれ、
 マイナス要素を乗り越えて買うからこそ、ファンになる。

いかがでしょう?

 実は私は「ル・クルーゼ、持っていない」主婦。しかし、このブログを書きながら、じわじわ欲しくなっているのだった…。この秋は、買っちゃおうかな。


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