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2007年04月 アーカイブ

2007年04月06日 カテゴリー : 7注目トピックス

オリジナル駅弁「東京宝箱」が120人の声を集めて生れるまで

リビングくらしHOW研究所 藤田です。
 
  4月13日、14日、15日の3日間、JR東京駅でちょっと珍しい「駅弁」が販売されます。その名は「東京宝箱」(1000円・税込み)。コレ、実は「リビング新聞」の編集部が、「NRE大増」と協力してプロデュースした、東京の名産食材を使ったオリジナル駅弁なのです。

 

「東京宝箱」(1000円・税込み)
4月13日(金)、14日(土)、15日(日)
JR東京駅2カ所で限定発売(500個)

「わが家ごはん・東京ごはん・地元ごはん」の集大成
リビング新聞では2006年度の1年間をかけ、全国ネットワーク全体で「わが家ごはん・地元ごはん・ニッポンのごはん」キャンペーンに取り組んできました。
キャンペーンの様子は「わが家ごはんWEB」で 
 
その中で、「東京」の「地元ごはん」を見つめ直すために編集部が考えたのが「読者の声を集め、東京食材をつかったオリジナルの駅弁を作る」という企画でした。
 
モニターとなった読者は、なんと合計120人。その、それぞれの異なる意見をまとめながら、ひとつの駅弁を完成させるのは、さすがに一筋縄ではいかなかったようです。この企画のメイン担当だった、入社3年目の編集部員・荒木望に、この「東京宝箱」が完成するまでに、どんな山や谷があったのかを聞いてみました。
 
「家庭で作れない味を」「お土産にもできるものを」
幻の豚「TOKYO Xも食べたい!」
「120人のプロジェクトの読者メンバーのうち、いつも30人前後が集まってミーティングや試食会をやりました。皆さん熱心で、各自の意見がある。1回目は、読者考案のレシピを入れようと思ったのですが“どうせ買うなら家庭で作れないものがいい”“旅行以外の時もお土産にできるもの”という意見が出て、方針展開するという一幕もありました」
 
「東京宝箱」に使うのは、東京湾の金目鯛、小松菜、東京うどのほか、極端に生産量が少なく、また高価な幻の豚肉「TOKYO X。「TOKYO X」は、あまりの確保の難しさに、一時は「入れられないかも・・・」という時期もあったそう。また、小松菜も、水分が出やすいため弁当には向かない食材。これは読者からのアイデアレシピ「シューマイに練り込む」を採用してクリア。そのほか料理としては「深川めし」や「江戸煮」という伝統の味も盛り込んであります。
 
「容器も・・・“使い捨てはダメ”という読者の声を取り入れ、竹を編んだ容器に。食べた後も小物入れなんかに使えそうなものです」。なんでも2段の豪華な容器も提案されたのですが、“電車の中で食べるのに2段は食べにくい”という声で、このタイプに落ち着いたのだとか。
 
作り手側にとっては「矛盾」でも、
それを実現できたときに、本当に喜んでもらえる
この企画を進行する中で強く感じたのは、「読者は“お買い得価格で、でもお土産にできるような品質”とか、作り手側には矛盾していると思える要求をするけれど、それを出来ないと決め付けないのが大事。“矛盾”が実現できたときに、本当に満足してもらえて、買ってもらえるものができるんですよね」。
 
NRE大増の取締役営業部長・櫻木和弘さんからも、「日ごろは作る側の立場から、つい作りやすい物を作ってしまいがちですが、消費者の立場からの駅弁作りを、もう一度考えさせてもらった」というコメントをいただいたそうです。
 
「あと“読者の意見をまとめるコツ”も、少し学んだかな。いろいろな意見を取り入れた、何パターンかの具体的な選択肢を用意して、それを選んでもらいながら、また意見を聞いていく。そうすると、意見を十分に聞けるし、読者にも満足感もあるし、ちゃんと最後には良い物にまとまりました(笑)」。
 
で、荒木さん、駅弁企画をもう1回やるのは・・・「いや~。とりあえず、次はこの東京宝箱の発展形を作りたいです。新しいものは・・・しばらくはイイです」。傍で見ていても、全力投球でしたもんね、荒木さん。ホントに。
 
この、リビング新聞編集部が、マジメに読者の声と向き合って作った駅弁「東京宝箱」。この3日間にJR東京駅に行く機会のある人は、ぜひ食べてみてください。ちなみに荒木のオススメは? 「TOKYOXも、小松菜入り海老シューマイも捨てがたいけど、野菜の“江戸煮”ですねぇ。野菜を下ゆでしないで甘辛に煮たものですが、野菜の香りがあって、コレがおいしいんですよ」

 

2007年04月16日 カテゴリー : 4藤田レポート&ダイアリー

福音館書店:ロングセラーを育てる力

「絵本は大人が読んであげる本」という一貫する想いに支えられた
福音館書店のあの本、この本
 
今年、サンケイリビング新聞社でスタートした「ミセスが選ぶBOOK大賞」。リビング新聞の読者であるミセスが、「私の日常を忘れさせてくれた本」「夫に読んでもらいたい本」「子ども・孫に読んであげたい本」の3ジャンルで投票。全国のミセスから約1万2,500件の投票がありました。
 
 
「ぐりとぐら」「エルマーのぼうけん」「うさこちゃんの本」・・・
どれもが40年を超えるロングセラー
 
その中の「子ども・孫に読んであげたい本」部門で、全国のお母さんたちから圧倒的に支持されての第一位は、福音館書店が出版する「ぐりとぐら」でした。福音館書店からは、もう1点「エルマーのぼうけん」も入賞しています。ちなみに「ぐりとぐら」は1967年初版。「エルマーのぼうけん」も1963年初版。どちらも3世代に渡って読み継がれる本の代表です。

 

 

「ぐりとぐら」
シリーズ
文:中川李枝子
絵:山脇百合子
福音館書店刊
人が、何かを生み出しマーケットに出していくとき、「たくさんの人に買ってほしい」と思うのと同じくらい強く、「長く売れ続けるものであってほしい」と、願うのではないでしょうか。しかし、それはとても難しいことで・・・など考えながら、福音館書店のHPを見てみると・・・。「ぐりとぐら」「エルマーのぼうけん」だけでなく、「うさこちゃんの本」「魔女の宅急便」、安野光雅さんの「旅の絵本」など、誰もが子どものころから知っている本が、ズラリと並びます。
 
この、福音館書店の「ロングセラーを育てる力」について、ぜひお聞きしたいと考え、専務取締役の田中秀治さんを訪ねました。
 
できるだけ、子供に読んであげることを続けています
 
 -福音館書店さんが出している絵本は、どれも質の高い絵本だと思います。でも、質の高いものを出せば必ずロングセラーになる、というのではないのだろうな、と思うのですが、いかがでしょうか?
 
「確かに、出版した本は、その時にたくさん売れてほしいですが、やはりロングセラーになって、世代を越えて読み継がれていってほしいと思っています。でも、こればっかりは、やろうと思ってできることじゃないですよ。ご存知のように、福音館書店は、派手な宣伝はやっていませんし」
 
-では、どうやってお母さんや先生たちに本の良さを知ってもらうのですか?
 
「私たちは、ずっと以前から、できるだけ実際に保育現場に行ったりして、出版した本を読んであげることをしてきています。子ども達が喜んでいる様子を、先生やお母さんが見ていて、こういう本は喜ぶんだということで手にとってもらえるようになる。その様子を先生やお母さんが他の人に伝え、読者が広がっていったように思います。」
 
ネットの情報にはなく、対面コミュニケーションだけにある“情報の奥行き”
 
 -それは、とても手間と時間がかかるPRの方法ですね。ネットで情報を流したり、キャラクター化などによる販促が全盛の今、ある意味とても珍しいのでは・・・?
 
「そうですね。しかし私たちは、絵本は子供がひとりで読む本ではなく、大人が読んであげる本だ、と考えています。その大人に分かってもらうには、実際に子どもが喜んでいる様子を、大人が目にしていくことが一番確かなことだと思っています。」
 
―絵本の魅力は、声を出して読むことでしか伝わらないということでしょうか。
 
「絵本を作りっぱなしにするのではなく、読んであげることが肝心なんだ、ということを伝えて行きたいんです。子供は、大人が自分に気持ちを向けて読んでくれることが大好きなのです、自分の相手をしてくれるんですから。子供は読んでもらうことで、言葉のリズム、響きなど言葉の面白さや物語の楽しさを知っていくのだと思います。ただ、子供はどんな絵本でも喜んで受け入れていくので、読んであげる絵本の質は大事です。おもしろいなと思うことは、同じ絵本でも、その絵本が大好きな大人が読むと子供は大喜びするし、あまり好きでない大人が読むと、あまり喜ばない。読んであげるときには、読み手の気持ちが伝わるんですね」
 
 -確かにネット社会になり、声に出すコミュニケーションが減って、文字によるコミュニケーションが増えていますね。
 
「ネットや携帯電話は、必要な情報だけをピックアップして伝える道具のように思います。ネットや携帯電話は、受け手も自分に必要な情報だけを切り取ったり記憶すると思うんです。でも人と人が対面して行うコミュニケーションだと、送り手が意図しない、相手にとって必要じゃないと思うような情報も一緒に伝わるんです。大人だって会って話しをしていれば、話し手の表情や声の調子で相手の気持ちやその時の状態が分かりますよね。話しているうちに話題も広がっていき、相手のことがもっと分かってくる。そうしたところから、コミュニケーションは深まっていくんだと思います。それが“情報の奥行き”にもつながり、本当はとても大切なものだと思うのです。大人でさえそうなので、言葉を身につけ始めた子供には、お母さんやお父さんが気持ちのこもった言葉をたくさんかけてやることが大事だと思います。ですから、大人が子供と絵本を楽しもうといった気持ちで、絵本を読んであげることもその一つだと思っています。」
 
少子化の時代にも、絵本はまだまだ大きな可能性がある
 
-そのように絵本の本質をとらえた地道なPRを根気よく行ってきたことが、現在のロングセラー群を作ってきた、ひとつの要因なのですね。しかし、今、少子高齢化時代です。子供の本を専業にしている不安などは、ないのでしょうか。
 
「少子化といっても、毎年100万人の子供が生れているんです。まだまだ子供の本には、いろんな可能性がありますよ。ただ、お父さん、お母さんに意識してもらいたいです。今子供達は、テレビ、ゲーム、パソコンにどんどん時間を取られていく傾向が進んでいます。子供に、立ち止まって考える時間を与えない情報の速さと量は、決して子供のためにならない。このような状況の中で、絵本を作りつづけていく大変さはもちろんあります。でも、もっと多くの子供たちに絵本を届けていくことは、必ず可能だと考えています」
 
一冊の絵本を「作る場面」から「売る場面」まで、子供と絵本へポリシーが一貫していること。それが、福音館書店が多くの3世代ベストセラーを育てた秘訣のひとつ。マーケティングで言われる「一貫してやり抜くこと」の重要性を、あらためて田中さんのお話から感じました。  (リビングくらしHOW研究所 藤田)

 

 

 

 


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